Tiny tiny house 手のひらの中の小さな家

Tiny tiny house
手のひらの中の小さな家


 

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Tiny tiny house
手のひらの中の小さな家


 

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ゴオオオオー

行き交う車の音
ブロロロロー
目の奥にまで残る排気ガスのにおい
キィィィィー
こんどは自転車にふみつぶされると思った

東京の下町の喧騒のなか 2月の花屋の看板娘として
歩道すれすれに並んでいるハナカンザシの夢は
オーストラリアの風に吹かれて、そよそよとたなびくこと。
広くてカラッとして爽やかなオーストラリア
行ったことはないはずなのに
みょうにハッキリと思い描いてしまう風景
この株の中のどれかでいいから オーストラリアまでいけたらなあ
もう少し暖かかったら ここもわるくないんだけど
そんなことを思いながら 店先にいる。

でも春になったら きっと もっときれいな花がやってきてしまうんだ
看板娘でいられるのも 今だけかも
そうしたら私どうなっちゃうんだろう
急に2月の寒さと不安で、身が縮みそうになる
「寒い時は背筋を伸ばすんだよ、そうする方があったかい」
いつも能天気なお客が言っていた言葉を 思い出した
ピンピンピンと胸を張る

と、その時
すっと指をさされた
「これ、ください」
ハナカンザシの株の一つが ひょいと持ち上げられ
がさごそと透明のビニールが広げられる
「もしかして、オーストラリア!?」
期待を胸いっぱいにして、その中へ入った。

宙づりで運ばれながら 外をながめる
にぎやかで 人情もあって いい街じゃないの
オーストラリア行きが決まったと思うと すべてが愛おしく思えてくる
成田に行くならスカイライナーに乗って
たしか 羽田も国際線でてたかな
どっちにしろ まずは日暮里駅ね
そう よみせ通りを通って

と思った矢先
グィィィィー
と扉を開けて なにか茶色い所に入った
なんだろうここは
電球の光につつまれる
見わたすと 小さい家がたくさんあって
なかは ずいぶんせまいなあ
寄り道かな
人の話している声もする
「かわいいでしょう?」
「かわいいね」

わたし ほめられている
わかりますか かわいいんです
そしてこれからオーストラリアに行くところなの
がさがさとビニールのふくろが開けられる
ハナカンザシは持ち上げられ
黒いポットから 古めかしい銅の器へ入れ替えられた。

それから一週間
ハナカンザシは きれいな若芽を 数本摘まれては
小さなお家の中に入ったりしている
見る人見る人 それをかわいいと言う
自然と背筋がのびてしまう
オーストラリアの日差しはあきらめていないけど
茶色い電球のライト浴びて
輝くのも良い気分

今週はハリキリすぎたかな
ハナカンザシは
お店がしまった後
ふにゃりとしなだれて
ここちよい眠りについた。

 


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